「特集 つながる、つがる」夏の終わり・収穫を控えたつがる市を巡るルポルタージュ

ベンセ湿原 岩木川0、0k

ベンセ湿原

6月から7月にかけてニッコウキスゲやノハナショウブに彩られるベンセ湿原。
今は夏の終わりとて大人の背丈を優に超す萱(カヤ)が群生し、木道からすこし逸れると灌木や松、ツル性の樹木が縦横にはびこって足を踏み入れるどころではない。驚かされるのは、沼また沼のこの一帯に水田の多いこと。こんなところでも昔の人たちは不十分な道具で木を伐り、根を一本一本抜き、土を耕し、水田に変えてきたのだ。
一方、人間の側から自然や生物の側に立ってみると、ここは苔やラン類など植物の宝庫であり、昆虫や鳥類たちの楽園でもあるのだ。
日本自然百選にも指定されている貴重な湿原だが、近年は地下水の汲み上げなどで乾燥化が著しいという。克服すべき自然から守るべき自然へ、そのバランスがむずかしい時代だ。

岩木川0、0k

十三湖から5kmほど南下したところ、見渡すかぎりの水田から一羽のアオサギが飛び立った。
ここは、岩木川が十三湖に流れ込むゼロ地点。白神山地に発した清流が、何本もの支流と出会い、滔々とした大河になり、ときには速く、ときにはゆったりと、田畑を潤し、人々を癒し、およそ100kmの旅を終える場所。そこはまた、ぼくたちの旅の終点だった。
ベンセ湿原 岩木川0、0k 岩木川が終点を迎える場所。 ぼベンセ湿原 岩木川0、0k 岩木川は様々な野鳥も育む。
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