「特集 つながる、つがる」夏の終わり・収穫を控えたつがる市を巡るルポルタージュ

郷土料理は永遠に。

郷土料理は永遠に。

津軽の郷土料理の達人たちがそれぞれ自慢の一品を披露してくれるという。女性に年齢を聞くのは失礼だが、ここはそのキャリアと人となりを感じてもらうためにハズせない。成田ミサさん(85歳)、坂本ヒサさん(75歳)、江良きみゑさん(62歳)のお三方。皆さんは伝統の料理や漬物を今に伝える名人上手で、青森県の「食の文化伝承隊」のメンバーとして、テレビにも出演するなど忙しい日々を送っているという。

では、まず成田さんからは、NHKの番組でも紹介されたという「すしこ」である。 餅米を硬めに炊き、きゅうり、しその葉、紫キャベツ、みょうがを混ぜ合わせ、酢と砂糖で一晩漬け込む。色鮮やかな津軽の伝統的漬物だが、とうがらしを効かせるのがコツだという。試食すると、なるほど酸味とともにピリッとくる辛さが一層の食欲をそそる。「みんな、稲刈りのときはすしこ持ってさ、お昼にこれ食ってキバったんだよ」

次は、坂本さんの「豆汁」。よく水を含ませた大豆をすりつぶし、手前味噌仕立てで煮立てただけのシンプルな料理だが、じつにうまいうえに身体が暖まる。風邪をひいたときなど、これ一発で治りそうだ。「昔はさ、どこの家も田んぼの畔に大豆植えて、それでそれぞれの家のやり方で手前味噌や豆汁をつくってたのよ」

最後は、江良さん。あるテレビ番組で再現したという昔ながらの「けの汁」だ。細かく賽の目切りした大根、人参、竹の子、ワラビ、フキ、ゼンマイ、ときにはズンダ餅も入るという具沢山で、昆布だしと手前味噌で味をととのえる。いかにも身体にやさしそうないい味だ。「元々は女衆を休ませるための、正月料理だったの。2、3度火入れすれば、半月もったからね」

・・・郷土料理とは、家庭料理つまりおふくろの味だ。ファーストフードと違い、それぞれの家では材料も違えば味つけも違う。そこがいいのだ。お母さんの顔が見える、郷土料理よ永遠に!
郷土料理は永遠に。。 稲穂いこいの里の旧家。正月には親類と囲炉裏を囲み料理に舌鼓を打ったのだろう。 郷土料理は永遠に。 郷土料理は永遠に。 成田さん(上)、坂本さん(左下)、江良さん(右下)に料理をお願いした。
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